2009年10月30日
興味深い本でした。ノーベル化学賞受賞の下村脩氏の子息で物理学者でありコンピューターのセキュリティーの専門家である務氏が、稀代のハッカーケビン・ミトニックを逮捕するまでの息詰まる攻防。
「黙ってソフト(オキの携帯電話ソフト)を渡してもらえないかな。」
「いずれ頂戴するつもりだがね。」
丹念に侵入者の足跡をたどる、根気の要る作業。現実とバーチャルが一緒になったハッカー同士の会話。
全米のコンピューターのセキュリティーを司るCERTの官僚組織の弊害。ニューヨークタイムズを利用したCERTへの注意の喚起とミトニックへの宣戦布告。FBIの協力。
ここかしこに、西海岸に住むコンピューターのセキュリテイー専門家のライフスタイルが垣間見えました。シェラネバダ山脈とサンディエゴを空路で行き来し、自然の中でクロスカントリースキーを楽しみ、都会での知的な挑戦をする生活。同じくソフト技術者である務氏の彼女のネパールへのスピリチュアルな旅。
コンピューターがアメリカ西海岸で、反戦運動・ヒッピー文化に始まるカウンターカルチャーとして生まれてきた経緯が、なんとなく分かります。
某雑誌に著名な化粧品メーカーの会長の「読書の楽しみ」みたいな小文が載っていました。その中で、司馬遷の「史記」を挙げておられました。早速Amazonで6巻まで注文しました。
蘭栽培で有名なその会長を乗せたたことのある、タクシー運転手に都内でいきあったことがあります。
「とても謙虚な方です。」
読んでみますと、思わず引き込まれていきます。
・・・本を読む楽しみは尽きないですね。