2008年11月3日
週末は京都でとある勉強会の3回目の同窓会があり行ってきました。4年前に同世代の経営者8名で1年間共に学びました。上七軒の鳥料理屋で開催しました。
「材料評価損が・・・。」「仕事量が減って・・。」等と、海の向こうの金融危機が日本の実体経済にも及んできて、メンバー各々ご苦労されています。しかしながら、同世代の気兼ねのない仲間同士で、プライベートの話題も含めて大いに盛り上がりました。
翌朝、メールをチエックしますとJMM(Japan Mail Media 村上龍氏主催)からメールマガジンが着ており、冷泉彰彦氏の「まぶしい日本」と題した、小文が書かれておりました。
冷泉氏は米国ニュージャージー州在住で、時代を定点観測してエッセイを書かれております。いつもは中まで読みませんが、題に惹かれ全文を読みました。今の米国から見たら「ひたすらまぶしく見える」日本の状況が書かれておりました。
1.暗黒の1週間の中で、モルガンスタンレー証券に唯一資本を出したのが、日本の東京三菱UFJ銀行であった。報道の論調によると、あの株価暴落の状況の中では、その出資の取引は反故にされても、「致し方のないこと」であった。彼らはそれを引き起こしたのは、自分たちということも「骨身にしみて」知っていた。「逃げられても恨まないから」と祈るような気持ちで見守る中、「金は振り込まれた」。恐怖に立ち竦む米国の中で「他人の誰かかが自分たちを救ってくれる」「地獄に仏」「絶望の中の一点の光」とはそのことで、その状況が克明に大きくCNNやCNBCに報じられた。
80年代の90年代の円高期に松下電器産業〈現パナソニック)ガMGMを、ソニーがコロンビア映画を、三菱地所がロックフェラーセンターを買収したときは「金で米国の魂を買う」と大きくバッシングを受けた状況とは違う。日本は金融危機や信用収縮の洗礼を受けた先輩や同士として取り扱われている。
2.同時進行で進んでいる「デトロイトのビッグスリーの崩壊」も同じような論調である。米国は「自動車産業は日本の自動車産業に完全に敗北した。」事実をを認めている。ビッグスリーに対する資本提携等報じられるのは、唯一日産=ルノー連合だけであり、「トヨタなり本田は恐れ多くて軽々しく支援云々などとは、噂できない。」といった雰囲気である。
「もしオバマ氏が大統領に当選したときは日米関係がどうなっていくか?」の命題に「日本は政権を維持し危機を乗り越えていくための重要なパートナーとなっていく。」と論じられております。その理由は、
1.オバマ氏の支持層の 40代以下の世代にある「ク-ルジャパン」(かっこいい日本)の感覚。まず17歳で運転免許を取得したときに、燃費や性能から日本車をチョイスした世代。彼らはポケモン・ニンテンドー・アニメ・日本のホラー映画世代である。オバマ支持のムーブメントの背景には、白人至上主義・勧善懲悪二言論への反発。その中での日本文化の意識のされ方は、日本で想像できないほど大きい。
2.金融の問題で「米国が加害者であり欧州は被害者」といった、欧州の感覚があり、米国としては欧州に頭を下げたくない。 環境の問題についても、欧州に教えを乞うたり、欧州の後塵を拝するのはいや。
その中で、日本が米国のパートナーとして、欧州よりもしっくりくる。 「ジャパンバッシング」「ジャパンパッシング〈日本素通り)」の時代にあった、「どうせ日本は期待されていないから、期待されるのはお金だけでしょ。」といった屈折した感覚は、全くのお門違い。米国に言うべきことはどんどん言う、同盟関係が期待される・・云々。
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仏の「ル・モンド」紙に「サムライの復讐」(ピエール=アントワーヌ・デロメ)と題して、話題になった論説があります。(10/5)
1.日本の銀行は世界中でおそらく唯一、サブプライムという毒を味わわなかった。1990年代の心象的外傷を未だ乗り越えていなかったのである。成長性や経済的魅力がない国とはいえ、知識や技術革新の社会の中で、ロボット工学は世界一、研究開発費も高水準にある。人口1.28億人の日本が人口24億人の中国と印度以上を生産し続けている。経済水準は世界第2位と長らくアジア最強国に留まり続けている。
2.失われた10年後、日本は復活しつつある。しかし世界中がそれを無視している。そうしてはならない。巨大な投機バブルから立ち直った国日本。西洋にとっての希望である。
丁度、翌日が日本の小林誠、益川敏英、南部陽一郎の3氏がノーベルの物理学賞を受賞のニュースが入った日であり、タイミングも良かったように思います。
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実は、私自身も考えていたことですが、この未曾有の金融危機の中で「日本は恵まれている・・・。」と思っていました。
金融も幸い大きく傷ついていないし、食べ物は概ね安心だし、保健・年金制度は危機といわれながら、今のところ機能しているし、働こうと思えば、働けるし・・・、社会的に解決していくべき問題は多々 ありますが、・・・私自身は「日本は恵まれている。」とつくづく感じています。
必然的に日本の世界でのプレゼンスや果たすべき役割が大きくなっていくのではないかと密かに思っております。
・・・「まぶしい日本」・・そんな言葉に同感いたします。
(photograph by Akiko)