2005年6月26日
安藤忠雄氏の表題の本を楽しく読みました。平易な文章でとても読み易かったです。
「ともあれ、着工から1973年のオープニングに辿り着くまで14年間のエネルギーは莫大なものです。・・以降、二度とシドニーの地を踏むことのなかったウッツオン、単なる技術者としての範疇を超えて、ウッツオンの描いた夢を実現させたオブ・アラップ、そのプロセスをわが身の事として注意深く見守り続けた社会-人々が、建築に注いだ思いの強さが作品に漲る緊張感を与え、見るものに大きな感動を与えるのでしょう。・・ウッツオンがオペラハウスによって作ろうとしていたのは文字通り〈そこにしかできない場)としての建築であり、彼はオペラハウスによって、建築が単に人々の活動を受け入れる器であることを超えて、都市のイメージを変えるほどの力を持ちえるのだということを我々に示してくれました。シドニーの、シドニー港という場所だからこそ、あの美しいオペラハウスが生まれたのであり、また実現のために多くの人々が心を尽くしたのです。」安藤忠雄著「建築に夢をみた」(場をつくる)
新卒者の採用で建築を学ぶ学生と話す機会があります。時々巨匠ル・コルビュジエ等の名前を聞く事があり建築の本を手に取るようになりました。
ともあれ、本を読んで一行でも心に残る文章にめぐり合うとしみじみと「良かったなあ。」と思います。