2013年11月29日
・・・何年も前私と学生たちは鉄道車両を組み立てる工場を見学したことがあった。中心となる仕事場は巨大な工場で、絶え間のない騒音で話を聞くことがほとんど出来ない汚い格納庫だった。そこで働く溶接工のほとんどは仕事を嫌っていて、終業時間を待ち望んで時計ばかりを気にしていた。彼らは工場の外へ出るや否や、近所の酒場に駆け込むか、もっとにぎやかなことを求め、州境を越えてドライブに出かけた。
だが、彼らのうち一人だけは別だった。その例外はジョーというほとんど教育を受けていない60代前半の男性だったが、彼はクレーンからコンピューターのモニターまで工場の設備の全ての部品を理解して修理できるように独学した人である。彼は動かなくなった機械が何処が悪いかを見つけ出し、再び正常に戻すことに挑戦するのが好きだった。
家では彼と妻は自宅に隣接する2区画の空き地に大きなロックガーデンを築いて、さらにその中に、夜でも虹を作れる霧の噴水装置を設けた。同じ施設に働く100人余りの溶接工たちは、たとえジョーを完全に理解出来なくても彼を尊敬していた。何か問題が起こったときには必ず彼に助けを求めた。多くの人々が、ジョーがいなければ工場はすぐに閉鎖することになるだろうと断言した。
何年もの間、私は多くの主要企業の多くのCEOや大物政治家たち、数十人のノーベル賞受賞者 ― 卓越した人生を送り、多くの点で傑出した人々 - と会ってきた。しかし、どの人生もジョーの人生よりよくはなかった。彼の人生のように、穏やかで人の役に立ち、そして生きる価値のある人生、何によってもたらされるのであろうか・・・
(Finding Flow 「フロー体験入門」 Mチクセントミハイ著 大森弘 監訳)
「楽しい時間」ということを漠然と考えています。
先日、春日町でお施主様と地鎮祭をさせていただきました。
地鎮祭前に小雨も上がり、涼気を含んだ爽やかな風も吹き抜けとても心地よくお祓いをさせていただきました。
式の最中、自分の意識が高揚するのがよく分かりました。
過日、篠山の先まで外構工事のお礼に上がりました。
行ってみますと、弊社を定年で退職された元経理課長さんの娘さんのお宅でした。
別荘地のような分譲地にある嗜好の凝ったお家で「上がられますか?」との事で家の中も
見せて頂きました。
バックミンスター・フラー博士考案のドームハウスでした。
手作りのケーキとお茶をご馳走になり、暫し四方山話をして帰ってきました。
とても有難い心地よい時間でした。
「フロー状態」に入った弊社のO部長。
目はとろんとしている(笑)
誰に頼まれたわけでもないのに、業務後や休日に出勤してせっせと全社の床にワックスをかけてご満悦状態w
「賭けは俺の勝ちだぜ!」
と雄たけびをあげる次男。
(photograph by Aota)
群青の海に飛び込む弊社の住宅設計者O君。
考えて見ますと「心が高揚する時間」「ランナーズハイ」のようにスポーツやすることに集中してトロンとした時間、何か流れ(Flow)に乗ったような時間は人生のうちに時たまおとずれる事があります。
卑近な例ですが犬の散歩の時間に何回かありました。
以前、五月の連休に市街地を見下ろす高台まで歩きました。
何の制約もなく、薫風に吹かれながら、茫洋と市街地を見下ろしていました。
・・・突然、非常な心地よい感覚が生まれました。
あるときは冬に同じ場所まで犬と歩きました。
帰り道を下ろうとしましたら雪が細かく吹き付けてきました。
風雪にさらされ、とても心地よく、意識が高揚しました。
大きな声で歌を口ずさみながら帰ってきました。
♪風に向かいながら
革の靴を履いて
肩と肩をぶつけながら
遠い道を歩く
僕の地図はやぶれくれる人もいない
だから僕ら肩をだいて
二人だけで歩く
君の心ふさぐ時には
粋な粋な歌を歌いAh・・
君を乗のせて夜の海を
渡る船になろう♪
(「君をのせて」 作詞:岩谷時子 作曲:宮川泰)
ある秋の日、婚礼があり夕刻、犬の散歩に出かけました。
秋の日は釣瓶落としで、酔いもあり犬と一緒に座って市街地を眺めておりました。
中空には大きな大きな満月に近い赤みのかかったお月さんが出てきました。
とても幻想的な眺めでした。
暫し愛犬と呆然と眺めておりました。
その昔、東京で建設会社に勤めておりました。
主に横浜支店管内の建設現場の事務屋として忙しい毎日を送っておりました。
1年目が終わったところで配置換えになり、静岡県の富士市・蒲原町・神奈川県の横須賀
市追浜の現場の担当になりました。
現場の雑務全てを任され、労基署の届け出、現場の乗り込みなど自由に動かせて頂き
ました。
初めて赴任の折、新宿から小田急線に乗り小田原を経て沼津の労基署に向かいました。
その後、蒲原の駅で降りて現場に向かいました。
冬でしたが、陽光が燦々(さんさん)とふりそそぎ、富士山を見ながら現場に向かいました。
たわわに実った蜜柑の木の間の山道を歩いて上がりました。
心の中に「みかんの花咲く丘」のメロデイーが流れてきました。
♪ みかんの花が 咲いている
思い出の道 丘の道
はるかに見える 青い海
お船がとおく かすんでる・・・♪
(「みかんの花咲く丘」 作詞:加藤 省吾 作曲:海沼 実)
雑務はすべて自分の担当の為、自分の判断ですべて動け、ライトバンで移動しながら仕事
をしていきました。
ある時は時間が無く、払暁の時間に生命保険会社の貸しビル内の支店に行き、次の現場に
廻りました。ビルの守衛さんに部屋を空けた記録が残る為、支店の方に後で驚かれまし
た。
ある時は一睡もせず、富士から高速道路にのったところセンターラインが曲がって見え、
慌てて沼津で高速をおりて新幹線で横浜に向かいました。
・・・全てが自分の判断に任せていただいたため、良き上司と共に忙しくも楽しい日々で
した・・・・。
「心が高揚する時間」「ゾーンに入る」「Flowフローの状態」とはなんでしょうか?
1つは何物にもとらわれない、自由な意志決定。
2つめはプライベートでも仕事でも自分で決めた目標に対するチャレンジではない
かな・・・と思います。
・・・そんな時間がその人の「人生の質」(Quality of life)を決めていくのではな
いかと漠然と考えています。