うだつ

建築

 昨日市内を運転中、商家の外壁に「うだつ」が上がっているのを見かけました。
「うだつ」とは隣家との間にもうける土造りの防火壁で富の象徴とされました。「うだつがあがらない」という言葉もここから来ています。

司馬遼太郎さんの著書で街道をゆく⑲「中国・江南のみち」の中に杭州の街並みに「うだつ」を見かけることを期待して旅する記述があります。杭州は寧波(ネンポー)という港に近く、寧波は室町期以降、日本との海上交通の拠点として栄えました。杭州や寧波の街並みに「うだつ」が沢山見ることができたようです。

江戸初期までは町方の建物は板葺きで粗雑なものが多く火事にでもあえば密集している江戸・大坂(阪)はひとたまりもなかったそうです。江戸中期以降、奉行所は防火上の対策に腐心しました。瓦葺き・土蔵造り・塗り壁構造とひろがり都市景観が変わっていきました。

司馬さんはこの地域の民家つくり方がなんらか江戸期の日本の類焼防止の工夫に影響があったのではないかと推測されたようです。

遣唐使も通り、仏教の伝来の通り道となったこの港(寧波)からこの様な造作の仕方も入ってきたのかと思いました。

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車窓

建築

 出張の山陰線車中、たまたま隣に座られたMさんとお話をしました。眼鏡を落とされて一緒に立って探しました。

私の読んでいた本を見られて
「安藤さんはいいですね・・。私の住んでいる街に(著名な)出版社のオ-ナ-の幼稚園がありその設計も安藤忠雄さんです。・・・中村好文さんの本も面白いですよ・・。」とお話頂きました。

 持っておられたイームズの本を見せて頂いて「金型が高いらしいですね・・。」とお話し頂きました。これから京都の陶芸家の窯を訪ねて伊豆の方まで帰られるとのことでした。

 お話ししてとても豊かな気分になりました。「一期一会」に感謝します。

「建築に夢をみた」

建築

 安藤忠雄氏の表題の本を楽しく読みました。平易な文章でとても読み易かったです。

 「ともあれ、着工から1973年のオープニングに辿り着くまで14年間のエネルギーは莫大なものです。・・以降、二度とシドニーの地を踏むことのなかったウッツオン、単なる技術者としての範疇を超えて、ウッツオンの描いた夢を実現させたオブ・アラップ、そのプロセスをわが身の事として注意深く見守り続けた社会-人々が、建築に注いだ思いの強さが作品に漲る緊張感を与え、見るものに大きな感動を与えるのでしょう。・・ウッツオンがオペラハウスによって作ろうとしていたのは文字通り〈そこにしかできない場)としての建築であり、彼はオペラハウスによって、建築が単に人々の活動を受け入れる器であることを超えて、都市のイメージを変えるほどの力を持ちえるのだということを我々に示してくれました。シドニーの、シドニー港という場所だからこそ、あの美しいオペラハウスが生まれたのであり、また実現のために多くの人々が心を尽くしたのです。」安藤忠雄著「建築に夢をみた」(場をつくる)

 新卒者の採用で建築を学ぶ学生と話す機会があります。時々巨匠ル・コルビュジエ等の名前を聞く事があり建築の本を手に取るようになりました。
 ともあれ、本を読んで一行でも心に残る文章にめぐり合うとしみじみと「良かったなあ。」と思います。
 オペラハウス