事業拡大のためにすぐ隣に第二工場を建てたい…。製品を保管する場所が無いから倉庫を建てたい…。
そのようなことをお考えのお客様。敷地内増築のご相談もヨネダにお任せください。
ただ、既に建物が建っている敷地での増築の際には気を付けなければならないことがあります。
建物の状態によっては増築がほぼ不可能な場合も!?今回はそういった敷地内増築の注意点をご紹介します。
既存建物との関係が不可分であることが確認出来ても、別で注意しないといけないことがあります。
可分不可分とは何?に関しては、前回投稿内容をご確認ください。(敷地内増築を検討する際のポイント(その①:可分不可分の考え方))
敷地内違反建築物の有無
既存建物との関係が不可分であることが確認出来ても、他にも注意しないといけないことがあります。それは既存建物が違反建築物でないか、ということです。
違反建築物とは、建物を建てる、使う上で守らなければならない法令等に違反した状態の建物のことを言います。
建物に関係する法律では建物の安全性を守るための最低限の基準を定めており、その最低限の基準が守られていない建物は安全性が保障されず、使用するには危険であると判断されます。
そんな違反建築物が建つ敷地は違法な敷地となり、違法な敷地では新たに建物を建てることができません。まずはその違反状態を是正しないと増築に進めないのです。
では、よくある違反状態の具体的な例をご紹介します。
具体的な違反状態
- 手続き違反状態
- 用途違反状態
- 違法増築状態
手続き違反状態
まずは、手続き違反です。一部地域の一定規模以下の建築物を除き、建物を建てる際には基本的に建築確認申請や完了検査等といった、いくつかの手続きを踏まなければいけません。
建築確認申請とは、計画された建物が建築基準法に適合しているかどうかを審査する手続きのことを言います。これが通った建物は様々な基準に適合することが確認されたことになります。
建築確認申請の中で最低限の基準を確認する訳ですから、これを通していない建物は違反建築物となります。
建築確認申請が通らないと工事に着手することができません。
完了検査とは、建築確認申請を通った計画の通りに建物が建っているかを検査することを言います。
せっかく基準に適合する計画として審査を通したのに、それ通りに作られていない場合はもちろん違反建築物となります。
こういった手続きが無事通った証として、確認済証や検査済証といった証明書が発行されます。
手続き違反ではないことを証明するものとなります。昔に建てられた建物であるほど手続き違反は多く見られます。
また、一見建築確認申請等が不要そうなものでも手続きが必要であるものがあります。
例えば駐車場や駐輪場のカーポート。壁が無く簡易な柱と屋根のみなので不要と思われがちですが、一部地域と規模を除き建築確認申請等が必要です。
他にはテント倉庫も壁、屋根が膜で構成されており軽量であるため建築確認申請等が不要と思われがちですが、こちらも手続きが必要です。
さらには貨物入れるコンテナも使い方によっては手続きが必要です。地面に置いているだけでも、簡単にすぐ移動が出来ない状態のものは建築物と見なされ建築確認申請等が必要となります。
増築を計画する際には、まず確認済証や検査済証といった書類があるかを確認しましょう。
用途違反状態
次に、用途違反です。建築確認申請に記載された用途が倉庫である建物において、工場や作業場、事務所といった用途違いの使い方をしている場合なども違反建築物と見なされます。
建物の用途によって必要な設備や区画、使用材料などの基準があるためです。
倉庫と言った非居室の空間で、工場といった居室的な使い方がされている場合、採光や換気、排煙の基準が適用されるため、無窓の倉庫であった場合は違反状態となってしまいます。
新築ではなく、建物を買う場合等は申請上の建物用途の確認が重要です。
違法増築状態
次は、違法増築です。床面積10㎡を超える増築行為(防火地域等では規模関係なく)は建築確認申請が必要となります。
申請を行わず増築した場合は違反状態となります。
このような規模の小さい増築では申請が出されていない場合が多いのですが、後々の大きな増築を検討する場合、それが原因で計画が進まなくなってしまいます。
建物に横からくっつけるだけでなく、平屋の建物内部の一角に中二階程度の空間を作っていたり、屋外階段を増築していたり、庇だけの増築であっても、そのほとんどが違反行為となります。
さらにはラックやステージといった建物に直接繋がっていないものでも人が乗ることができると判断されれば、床面積が発生し階数が増えたり増築扱いとなる場合があります。
リフォーム感覚で工事した内容が違反となる場合があるので注意しましょう。
建物ではないですが、エレベーター等の一定の昇降機についても、建物とは別で確認申請と完了検査が必要となります。
基本的に建物の申請とセットになりますが、手続きが通った建物であっても違法で昇降機を設置している場合は建物同様に違反状態となります。
さらには、ガスや火薬、ガソリンなどの危険物を扱っている場合、それに対応する仕様になっていない建物も違反状態となります。
建築基準法の中にも危険物の基準は記載されていますが、消防法でも決められており、その基準の方が厳しいためそちらで検討することになります。
ガス漏れや火災や爆発が起これば人命にかかわるため、相応の仕様になっていない建物で危険物を扱うことは認められていません。
次の記事では、今まで紹介した注意点を基に、既存建物がある敷地において増築計画を進める場合の思ってもみないような制限の例を紹介します。
参考記事:(敷地内増築を検討する際のポイント(その①:可分不可分の考え方))
参考記事:
入社11年目の33歳です。工場・倉庫の建設への不安を少しでも無くせる様にコラム記事の記載を始めました。
休日は、4歳の息子と遊ぶ(遊ばれる?)のが一番のリフレッシュです。
工場・倉庫の新築工事を長年専門としておりますので、お気軽にお問い合わせください。